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墨と表具

墨と表具

 液体墨の製法には膠を原料にした物と合成糊剤を原料にした物があります。表具性が悪いのは膠を原料にした液体墨なのです。合成糊剤を原料にした液体墨は固形墨と同様表具には何ら問題はありません。膠は固形墨にとりまして理想的な原料で、現在でも膠に代わる原料は見つかりません。先人の知恵に頭が下がります。しかし固形墨に最も適した膠の性質が、液体墨には最も不適合となるのです。

 蛋白質の保存は乾燥・冷凍・塩浸けするしかありません。乾燥したのが固形墨ですし、塩浸けしたのが膠を原料にした液体墨なのです。塩分が多く入りますと乾燥が極端に悪くなります。書きましても塩分はどこにもいかず、紙に残りますので膠の乾燥皮膜形成が阻害されます。これが表具性の悪い原因です。書いた紙が乾燥しても全然縮まない時は、膠の塩浸け液体墨とお考え下さい。表具しない練習用であれば問題ありませんが、表具する場合は塩分が紙に残りますので絶えず湿気を帯び、梅雨時には作品から膠の腐敗臭が出ることがあります。膠使用の液体墨は淡墨使用が大切で、薄めることにより塩分濃度も下がり膠本来の透明皮膜がよみがえり表具性も良くなります。

 青墨の煤は茶系の煤に比べ、その粒子の大きさは10~100倍近く大きな物です。そのために濃く使いますと、粒子は紙の繊維の中に浸透せず、紙の表面に乗っている状態になります。固形墨も液体墨も水溶性で、水の中で良く煤が分散できるように造られています。表具するためには、微粒子に分散された煤が紙に良く浸透し、紙の繊維に絡み付き固定されなければなりません。茶系の細かい煤を使った墨でも、造りが悪くて粒子が凝集して分散していたり、宿墨を使った場合には、煤が紙に浸透せず表具時に散ることがあります。青墨の濃い場合は、大きな粒子がさらに凝集して分散していて汚く見えるものです。青墨は淡墨でのみ表具できるとお考えください。青墨はできるだけ鋒鋩の細かい硯をお使いになり、より細かく磨り下ろして戴きますと、表具できる濃さも高くなりますし淡墨における透明感も増します。

 膠を原料とした液体墨を普通の濃さ(固形分10%程度)以上の濃度で使い、表具屋さんに持ち込みますと、さすがはプロで一目で見分け、フィクサ-という合成樹脂製の固着剤をサッと吹き付け表具してくれます。何のことは無い、この製品は固形墨と同じ天然膠で造りましたと売り込んでも、できあがった作品の上に、合成の皮膜がもう一枚乗るのです。表具屋さんで吹き付けてくれる合成樹脂の皮膜が、余白の部分まで飛び散り、時間経過と共に変色する紙に、曼陀羅模様が出るのではないかと心配しています。表具屋さんにどうして見分けるのかを聞きますと、"寝ている墨は危ない"、"起きている墨は大丈夫"と禅問答のような返事です。よくよく聞ききますと、紙が縮んで入れば大丈夫、縮んでいなければ危ないと解り納得しました。

資料提供:株式会社墨運堂
資料提供:書道用品通販 書道用具・筆墨硯紙の書道洛

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